お知らせ

お位牌の話

2021.10.17

この度、お位牌について興味深い話を伺いました。

さきに、仏壇仏具の専門店の多くが加盟する「全国宗教用具協同組合」という団体があります。「より良い宗教用具を安心してお求めいただける価格で提供し、神仏を敬いご先祖を供養することにより、皆様の心の幸せと平和なご家庭が築かれることを願うと共に、宗教用具業界の健全な発展を目指します」という目的を掲げています。毎年10月には、京都で「全国研修会」が開催されますが、今年は長門屋はオンラインで参加しました。その中で伺った話です。

 お位牌

仏壇店にいる私たちにとってお位牌は、毎日手に取る身近なものです。禅宗を通してかつ中国の儒教の影響も受けながら浸透してきたというお位牌。お位牌という「モノ」が作られたことは、とても画期的なことだったそうです。亡くなり肉体が見えなくなった存在を、お位牌という「モノ」にしたことで供養が可能になり、だんだんに供養の期間が長くなっていきました。鎌倉時代には、100ケ日、1周忌、3回忌が加わりました。江戸初頭からは、定住し世代を継承するという「家」の観念ができ、十三仏信仰の浸透より、3回忌にとどまらず、7回忌、13回忌 … 33回忌まで延びていきました。しかも、お位牌は複製可能なので、いろんな場でまつることができるようになりました。亡くなって見えなくなってしまったけれど、お位牌というモノに変えて、「ここにいるってことね」と決めて、お参りしてきたのが日本人の精神文化。そう考えると、お墓も同じ考えで供養されてきたことがわかります。

ここ山形では、お寺の本堂周りに位牌堂があり、そこに家のお仏壇にまつるお位牌とは別にもう一つのお位牌を、「山形厨子」と呼ばれる豪華な入れ物に収めてまつる風習があります。位牌堂に行くと、楽器を奏でる天女や、柱に巻き付いた龍や、花鳥が舞う彫り物がついた歴代の黄金の厨子を一堂に見ることができます。その様は、菩提寺の仏様のお膝元にご先祖様がいてくれて、生きていく自分たちを見守ってくれることを望む気持ちの表れのようにも感じます。

山形厨子 天女の彫り物
山形厨子 天女の彫り物

研修の中で、日本の神や仏は、「呼べば来てくれる」ことも習いました。お盆は、ご先祖様を焚火や提灯などの「火」で呼びます。お正月は、歳神様を「松」で呼びます。お仏壇の前で手を合わせればお仏壇に、お墓に手を合わせればお墓に、位牌堂で手を合わせればお位牌に、仏様とご先祖様は重なりながら、かなたの世界から瞬時に来てくれるイメージが私の中にあります。

「これからを考えることはこれまでを知ること」ということで聞いた話。聞くほどに、まだまだ知りたくなった奥深い研修でした。

(笹林陽子)

page-top