かわら版・コラム
マイタウンあさひVol.231 長門屋コラム第8回 祈り、学び、つながる仲間
2023.01.26
2020年1月発行のマイタウンあさひにて、長門屋のコラム連載第8回目が掲載されました。今回は、「祈り、学び、つながる仲間」について。長門屋敷地奥の「ひなた蔵」で開催される写経の会についてお話ししました。「マイタウンあさひ」は毎月30日に朝日新聞に折り込まれます。
【祈りのある暮らし⑧ 祈り、学び、つながる仲間】
「長門屋」の敷地の中には、初代店主が開いた小さなお寺と、三つの蔵と庭があります。のちに「ひなた蔵」と名付けた蔵は、長門屋のはじまりが漆器の行商だったこともあり、たくさんのお膳やお椀がしまわれておりました。お蔵を生かしたいと、なかを片付け、人を招くようになったのは東日本大震災の翌年のこと。先祖が残した江戸時代の大きなおひな様を久しぶりに出して、ひなた蔵に飾ったのがはじまりでした。その後は、「写仏の会」や「写経の会」を定期的に開いてきました。先生がいるわけではなく、希望の方が毎月集う会で、おまいりした後に写経をはじめ、終わった後は朱塗りのお膳でお粥膳をいただきます。食後に、みなさまから近況を一言ずつお話しいただくと、お一人おひとりの言葉のなかに、楽しさや喜び、時には体の不調や心のつらさも抱え持つ日常や心の内が垣間見られます。以前「写仏の会」に長く参加されたHさんが、昨年の暮れにしばらくぶりに訪ねてくださいました。この度、一緒に参加されていたお友達のSさんが亡くなったというので、そのお知らせに来て下さったのでした。ご縁のあったときから闘病中だったにもかかわらず、行動派でいつもにこやかだったSさんのお顔や声が甦ってきて、悲しみと懐かしさがこみ上げてきました。いつも元気でいたくても、そうでないときがあるのが人生。そういうときこそこの場に集い、一文字一文字思いを込めて写経をし、食をともにし、日常を吐露しおしゃべりする一期一会の時間が、前に進む何かしらの力になっていたらと思い、続けています。(代表 笹林陽子)