かわら版・コラム
マイタウンあさひVol.233 長門屋コラム第10回 お仏壇という存在Ⅱ
2023.01.26
2020年3月発行のマイタウンあさひにて、長門屋のコラム連載第10回目が掲載されました。今回は、「お仏壇という存在」について。受け止め方ひとつで見え方が変わるお仏壇。実際にお仏壇のある暮らしをされているお客様の例に触れ、お話ししました。「マイタウンあさひ」は毎月30日に朝日新聞に折り込まれます。
【祈りのある暮らし⑩ お仏壇という存在Ⅱ】
子どもの頃は、お仏壇には自分が会ったことのない死んだご先祖様が入っていると聞かされていたので、厳かながら怖い場所でもありました。しかし年月が経ち、一緒に暮らした祖父母や父が亡くなり、片付けたご先祖様たちの持ち物や写真から人柄に触れる機会があり『出会い直し』をしたことで、顔が見える人たちが見守ってくれているありがたい場所に変りました。自分のいいところも悪いところもお見通しの人たちが、仏さまと一緒にそこにいてくれる感覚です。猛ダッシュで「今日も1日、見ていてくださいね」と手を合わせる朝もあり、決して優等生とは言えません。でも、生来心配性の私が、やれるだけのことをした後は、大きな計らいに「委ねる」という心持ちでいられるようになったのは、この場所のお陰だと思っています。今、毎日の仕事としてお仏壇に携っている私は、お仏壇をとても大切にして暮らしている方々の声を、いつも聴かせていただいています。ご主人を亡くされて来店してくださった80代の女性T様が、こんな声を寄せてくださいました。「コンパクトなお仏壇を、故人が愛した居間の机の上に設置させていただきました。家族やお客様が集まる居間で、みんな真っ先にお仏壇に眼がいき、故人の話に花が咲きます。お仏壇がこんなに身近に感じ、心落ち着くものだとは知りませんでした」と。お仏壇の存在が、受け止め方ひとつで心に安心や穏やかさをもたらしてくれる……。人生でお仏壇について考えるタイミングは、人それぞれ。弊店の存在が、そんな方のこれからの暮らしの一助になればうれしく思います。(代表 笹林陽子)