かわら版・コラム
マイタウンあさひVol.234 長門屋コラム第11回 あるものを生かす
2023.01.26
2020年4月発行のマイタウンあさひにて、長門屋のコラム連載第11回目が掲載されました。今回は、「あるものを生かす」ことについて。長門屋には、お仏壇についてのご相談が日々寄せられます。最近増えてきたのが、お仏壇の引き継ぎ方についてです。「実家から引き継ぐお仏壇が、今の住まいには大きすぎて置けない」今回はそんなお悩みをご相談して下さったお客様のエピソードです。「マイタウンあさひ」は毎月30日に朝日新聞に折り込まれます。
【祈りのある暮らし⑪ あるものを生かす】
「大型仏壇を小さくできたら引き継げるのだが…」という声は以前からありましたが、これまでは個別に対応しておりました。しかし年々、実家のお仏壇の引き継ぎ方に悩まれる方にお会いする機会が増えてきたことから、修復や小型化に加え、家具などへの作り替えをご提案したところ、複数の新聞で取り上げていただくなど、ニーズの高さを実感しています。埼玉県にお住いの60代の男性I様は、ご両親が亡くなられ、山形市内のご実家の片付けを進める中で、立派な金箔仏壇の今後についてお悩みでした。埼玉のご自宅マンションで、そのままのサイズでは受け継ぐことができません。購入した仏壇店からは、買い替えを勧められたそうです。「両親や実家の思い出が詰まった仏壇を〈思い出箱〉として小さくし、手元に置いておきたい」というI様のご希望を叶えるべく数か月間お預かりして、この春、半分以下のサイズになって完成。納品後にI様からこんな声をいただきました。「ありがとうございました。元の仏壇の中心部のイメージにそっくりです。まるで新品のようにも見え、和室の中でも存在感を放っています」仏壇や仏具を受け継ぐことは、その〈モノ〉にこめられた〈想い〉を受け継ぐこと。お客様の事情に合わせた選択をするお手伝いをさせていただくと、〈モノ〉だけでなく、お気持ちまで整理されていくお客様が多くいらっしゃいます。〈あるものが生かされて〉、形をかえて大事に受け継がれていくことは、私たちにとっても大きな喜びです。(代表 笹林陽子)
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